1.弾性理論

1.1.弾性理論とは?

固体の力学現象を扱う弾性理論は、ある範囲に特定されます。
固体に外から力(外力)を加えると変形します。 その際、外力を取り除くことで元の形に戻る変形を弾性変形と呼びます。 それに対し、外力を取り除いても元の形に戻らず、変形が残るようなものを塑性変形(永久変形)と呼びます。
弾性理論は固体の弾性変形内における力学的現象を扱います。

1.2.材料力学との関係

材料力学は建造物や機械構造部材の変形や破壊について、力学的に見る実用的な学問です。 機械を設計する上でこれらの発生を事前に予測し、未然に対策を施すためには材料力学が必要不可欠です。 材料力学では、フックの法則、縦弾性係数、ポアソン比等を証明なしに受け入れら、さまざまな工学的ケース (例えば梁、板バネ、軸のねじりなど)に合わせて解き方を学んでいくものになります。
それに対し弾性理論は基礎科学の位置づけであるため、より原理的な内容を扱います。 例えば、力学と熱力学を組み合わせてフックの法則、弾性係数やポアソン比を導出します。 無条件に受け入れる事象(公理)は極力限られた中で、現象を数式化していくことがれ弾性理論の目的になります。 そういった意味で、弾性理論は材料力学の礎を築いている学問になります。
従って、材料力学で対処できないような問題や、原理的に不明瞭で材料力学のどの公式をあてはめればよいかわからないような場合などは、弾性理論の範囲まで立ち入って、より原理的な理解を深める必要があります。
では、機械設計者のすべての人が弾性理論について把握しなければならないか? と問われれば、望ましいけどそこまでする必要はないのでは?と考えます。 弾性理論はそれほど簡単な学問ではありません。 特に数学的表記、扱いが難しく、その部分の理解もしなくてはならないのでかなりの負担になります。

おそらく、材料力学の公式を扱う上で必要な弾性理論の知識の最上位にくるものは、公式の導出においてどの程度の近似が用いられているか?を知ることです。 例えばフックの法則は、熱力学関数である自由エネルギーについて三次以上の微小項は無視して導出されます。 また、ひずみテンソルについては二次以上の微小項は無視しています。 そのため、例えば大変形問題など、微小項を無視できないケースに対してそのまま材料力学の公式をあてはめて全く結果が合わない、といったことに陥ります。 こういった点から見て、弾性力学も実用面で十分活躍することが分かります。

従って、どちらか一方だけを学ぶよりも、両方の参考書を用意してそれぞれを関連させながら勉強するのが最も良い方法だと言えるでしょう。 弾性理論に力を入れるべきか、材料力学に力をいれるべきかはご自分の興味や必要性に合わせて選択すればよいと思います。
なお、弾性理論と材料力学のおすすめ参考書をここで紹介しておきます。



参考文献

連続体力学のうち、弾性範囲内の固体の変形を扱ったものです。 材料力学という形で実用上用いられています。