3.スプラインのはめあい

インボリュートスプラインのはめ合いは、次の二種類あります。

形式 歯面あわせ 大径あわせ
特徴 スプラインは歯面だけで接触し、中心合わせを行う。 そのため、大径部、小径部には隙間が生じる。 大径面によって中心を合わせるので、軸大径と穴谷径に隙間はしょうじない。 軸の歯先面取りが必要である。
はめあい形式 自由、滑動、固定、圧入 滑動、固定

はめあい形式に応じて、つぎのようなしめ代を設定します。
  1. 自由:必ずすきまがある
  2. 滑動:通常すきまが少しある
  3. 固定:通常締め代が少しある
  4. 圧入:必ず締め代がある

(1)の自由は、理論上軸と穴の中心線が一致するものの、傾きによって生じるわずかな中心線のずれを許容するものです。 締結においてあそびが必要な場合に用いられます。 例えば、車が故障したときに積み荷を積んだまま駆動軸を抜いたりはめたりする場合にこのようなあそびが必要になります。

図3_1 はめあい:自由
図3_1 はめあい:自由

参考に、JIS B 1603で規定されているはめあい代の設定を掲載しておきます。

はめあい 中間ばめ すきまばめ
公差 H/k H/js H/h H/f H/e H/d
形式 圧入 軽圧入~固定 滑動 自由

4.スプラインのJIS規格

現在、スプラインに関する主なJIS規格は以下のとおりです。

  • JIS B 0006 :製図-スプライン及びセレーションの表し方
  • JIS B 1193 :ボールスプライン
  • JIS B 1601 :角形スプライン -小径合わせ-
  • JIS B 1603 :インボリュートスプライン -歯面合わせ-
  • JIS B 4239 :インボリュートスプラインブローチ
  • JIS B 4350 :歯切り工具 -歯形及び寸法

JIS B 0006では、JIS D 2001:自動車用インボリュートスプライン、JIS B 1602:インボリュートセレーションを関連規格として挙げていますが、これらはすでに廃止され、JIS B 1603に統合されています(JIS D 2001の内容はJIS B 1603の附属書という形で残っています)。 JIS B 1603附属書は、大径合わせの必要性に対応するためのもので、国際規格に整合しないため、新たに設計に適用することは推奨されていません。
なお、JISは無料で閲覧が可能です(印刷はできません)。
JIS検索ページのリンク


5.スプラインの歯形

インボリュートスプラインの歯形曲線は、名前の通りインボリュート曲線になります。 歯切りに際しては、JIS B 4350:歯切工具が適用されます。 これは、インボリュートスプラインと平歯車が同じ歯形形状をとるためです。
インボリュート曲線による歯形の創成は、本サイトWebアプリの歯車歯形曲線ページで作成できますので、そちらを使っていろいろと歯形曲線を作ってみてください。 また、計算結果はDXFファイルとしてダウンロードできますので、CADで取り込んでご利用いただけます。

5.1.インボリュートスプライン

(1)JIS B 1603

JIS B 1603で規定されるインボリュートスプラインの主な規格は次のとおりです。

項目
モジュール 0.25、0.5、0.75、1、1.25、1.5、1.75、2、2.5、3、4、5、6、8、10
圧力角 30deg、37.5deg、45deg
歯底の丸み 圧力角30degは平底と丸底がある。圧力角37.5degと45degは丸底のみ。
中心合わせ 歯面合わせ
はめあい H/k、H/js、H/h、H/f、H/e、H/dの6種類

JIS B 1603のインボリュートスプラインに対応したラック形状は次のとおりです。

図5.1-1 インボリュートスプラインラック(JIS B 1603)

項目 平底 丸底
α 30 37.5 45
hae 0.5 0.5 0.45 0.4
hde 0.75 0.9 0.7 0.6
hs 0.6 0.6 0.55 0.5
hdi 0.75 0.9 0.7 0.6
cf 0.1 0.1 0.1 0.1
ρ 0.2 0.4 0.3 0.25

(2)自動車用インボリュートスプライン

JIS B 1603附属書(旧JIS D 2001)で規定されるインボリュートスプラインの主な規格は次のとおりです。

項目
モジュール 第一系列:0.5、1、1.25、1.667、2.5、5、10
第二系列:0.75、3.75、7.5
圧力角 20deg
転位量 0.8m
呼び径 d=(z+2)m
大径 d-0.2m(歯面あわせ)
d:(大径あわせ)
d+0.3m(歯面あわせ+カッタ)
d(歯面あわせ+ブローチ、大径あわせ)
小径 d-2.4m d-2m
歯底の丸み 0.3m
中心合わせ 歯面合わせ、大径合わせ
はめあい 歯面あわせ:自由、滑動、固定、圧入
大径あわせ:滑動、固定

自動車用インボリュートスプライン(JIS B 1603附属書、旧JIS D 2001)に対応したラック形状は次のとおりです。

図5.1-2 インボリュートスプラインラック(JIS B 1603附属書)

5.2.インボリュートセレーション

JIS B 1602はすでに廃止されていますが、インボリュートセレーションの主な規格は次のとおりです(廃止 → JIS B 1603圧力角45deg相当)。

項目
モジュール 第一系列:0.5、1、1.25、1.667、2.5、5、10
第二系列:0.75、3.75、7.5
圧力角 20deg
転位量 0.8m
呼び径 d=(z+2)m
大径 d-0.2m(歯面あわせ)
d:(大径あわせ)
d+0.3m(歯面あわせ+カッタ)
d(歯面あわせ+ブローチ、大径あわせ)
小径 d-2.4m d-2m
歯底の丸み 0.3m
中心合わせ 歯面合わせ、大径合わせ
はめあい 歯面あわせ:自由、滑動、固定、圧入
大径あわせ:滑動、固定

JIS B 1602(廃止)のインボリュートセレーションに対応したラック形状は次のとおりです。

図5.2_1 インボリュートセレーション

参考文献

スプラインやセレーションは、ねじや接着と同じように締結の一手段ですが、専門の解説書というのはなかなかありません。 インボリュート外歯車と内歯車を組み合わせて締結に使う、という点から歯車の書籍が参考になります。