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ご活用いただければ幸いです。

1.フーリエ解析

1.1.フーリエ解析の目的

時間とともに変化しながら出力されるデータを時系列データといいます。 フーリエ解析は、 この時系列データから以下に示す周波数特性を明らかにすることを目的とします。


  • (1)周期性を見出す
  • (2)各周期(周波数)成分の影響度合いを明らかにする

特に(2)の性質をスペクトルと呼び、 スペクトルを明らかにする解析全般をスペクトル解析と呼びます。 フーリエ解析は、スペクトル解析に含まれる1つの手法です。


図1.1-1 時系列データとフーリエ解析
図1.1-1 時系列データとフーリエ解析

ところで、データの周波数特性を知ることで、一体何が得られるのでしょうか?

例えば構造体に発生する振動を考えます。振動する外力を構造体に与えると、その振動数と同じ振動が構造体に発生します。 また、衝撃力を構造体に与えると、力の作用が抜けた後も構造体には固有振動が残ります。 また、固有振動と一致する振動が構造体に作用すると共振現象が発生し、構造体を破壊することにつながります。 このように、構造体に発生するデータを周波数分析することで、 振動の要因や問題となる振動成分の特定を行うことが可能となります。

この他にも、声を分析することで声紋を調べることで個人を特定したり、 物体に照射した光を分析することでそこに含まれる原子を特定したり、 信号内のデータとノイズを分離したりと、様々なことに利用されています。

以上のように、フーリエ解析によってデータを別の視点から捉えることで、 今まで見えなかった情報をあぶりだすことが可能になります。


1.2.フーリエ解析の基本式

図1.1-1のように、フーリエ解析では時系列データを時間の関数f(t)から周波数の関数F(ω)に変換します。 この変換はフーリエ変換と呼ばれる数学的手法によって行われます。 そこで本節では、フーリエ変換の概要について見ていくことにします。


1.2.1.フーリエ級数展開

フーリエ級数展開とは、“任意の周期関数を三角関数の和” で表したものです。 (1.2.1―1)式は、周期2Lの関数f(t)をフーリエ級数展開したものです。


1.2.1-1

特にan、bnが実数のとき、 第一式を実フーリエ級数展開、 an、bn実フーリエ係数といいます。 それに対し、オイラーの公式


1.2.1-2

を用いることでこれらを複素表現できます (計算過程は、基礎科学/数学/ フーリエ級数展開 のページをご参照ください)。


1.2.1-3

この第一式を複素フーリエ級数展開、 cn複素フーリエ係数と呼びます。


さて、複素表現の計算過程において、 複素フーリエ係数cnと実フーリエ係数an、bn の間にある以下の関係式が得られます。


1.2.1-4

複素フーリエ係数cnはn>0とn<0の間に複素共役の関係が成り立つので、 cnの大きさは次式で計算でき、これを振幅スペクトルと呼びます。


1.2.1-5

また次式で得られるψnは、 余弦波(cos)と正弦波(sin)の位相を規定するもので、 位相スペクトルと呼びます。


1.2.1-6

振幅スペクトルと位相スペクトルを用いることで、複素フーリエ係数cn


1.2.1-7

で表せ、(1.2.1-3)式に代入することで時系列データを表す(1.2.1-8)式が得られます。


1.2.1-8

振幅スペクトル|cn|は、データの中に含まれる各々の周波数成分の強さを表しており、 フーリエ解析では、振幅スペクトルによって評価する場合が多くあります。


1.2.2.フーリエ変換

フーリエ級数展開は周期関数に対して成り立つものです。 そこで、周期2L→∞の極限をとることで、 非周期関数にも展開できるようにしたものがフーリエ変換になります。 導出の詳細は省きますが、次式で表されるf(t) → F(ω)をフーリエ変換、 F(ω) → f(t)をフーリエ逆変換と呼びます。 なお、(1.2.1-3)式の角周波数がdω→0となることから、ωは連続的な変数になります。


1.2.2-1

この関係からフーリエ変換は、時間領域から周波数領域への写像と考えることができます。


1.2.2-2

また、フーリエ係数cnに対応するのがF(ω)であり、これもスペクトルと呼びます。 ただしフーリエ級数展開と違うのは、cnが整数倍ごとの離散スペクトルであるのに対し、 F(ω)は連続スペクトルとなる場合があります。


2.信号データとサンプリング

2.1.信号データのデジタル化

物理現象を表す信号は連続的な数値として出力され、これをアナログ信号と呼びます。 この信号をコンピュータで処理する場合、不連続な数値に変換しなければなりません。 これは、コンピュータの計算できる桁数が有限であることに起因しています。 この不連続な数値をデジタル信号と呼び、 アナログ信号からデジタル信号に変換することをAD変換と呼びます。

アナログ信号をデジタル化するためには、離散化量子化の作業が必要になります。 離散化は時間を不連続化(とびとびの値)することをいい、 量子化は出力値を不連続化することをいいます。 信号をデジタル化した例を図3.1-1に示します。 下図における格子の横線は時間の離散化に、縦線は出力の量子化に該当します。 そのため、格子点座標がデジタル信号として取り得る値になります。 アナログ信号は必ずしも格子点上を通るとは限りませんので、デジタル信号はアナログ信号を近似的に扱う、 という意味も含まれます。


図2.1-1 信号のデジタル化
図2.1-1 信号のデジタル化

ここで、上図の横線1目盛分である時間の離散化間隔をΔt、縦線1目盛分である出力の量子化間隔をΔgとします。 このとき、デジタル信号はある自然数n、kを用いて(nΔt、kΔg)で表せ、 「時刻nΔt から(n+1)Δt間の出力値をkΔgで代表する」という意味を持ちます。 これは、アナログ信号に対応するデジタル信号としてある区間内の代表値を選択する、 という意味からサンプリング(標本化)と呼びます。

Δtはサンプリング間隔であり、一定間隔で繰り返されることから周期の意味を持つため、 サンプリング周期と呼びます。 また、この逆数(1/Δt)をサンプリング周波数と呼びます。


2.2.サンプリング定理

周波数分析を行うためのデータを取得する際、サンプリングに関する制約があります。 本節ではその点について見ていきます。


デジタル化された時系列データを三角関数の和として表すことがフーリエ変換ですから、 デジタルデータから波の形を抽出できなければなりません。 図2.2-1で見ればわかるように、もしデータの中にサンプリング周期Δtの2倍より小さい波があった場合、その波は検知できません。 従って、Δtは検知したい最も小さい周期成分の波の半分以下としなければなりません。 これを周波数で言い換えると、サンプリング周波数は検知したい波の最大周波数の2倍以上としなければなりません。 例えば100Hzまで分析したい場合は、サンプリング周波数を200Hz以上としなければなりません。 この最低周波数をナイキスト周波数と呼び、 このようなサンプリング制約をサンプリング定理と呼びます。


図2.2-1 サンプリング周期による波の検知条件
図2.2-1 サンプリング周期による波の検知条件

上図iv)はサンプリング定理を満たしているものの、波を検知できない特殊事例になります。 その場合は、観測開始時刻を少しずらせば波として認識出来るようになります。


<サンプリング周期を決める具体的な例>

例えば、100Hzまでの周波数特性が知りたい場合、サンプリング定理により最低200Hzのナイキスト周波数が必要となります。 この逆数がサンプリング周期Δtとなりますので、Δt=0.005秒以下とする必要があります (ただし、後に出てくるエイリアジングの影響は無視します)。


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