1.公差

1.1.公差とは?

公差とは、ある基準値に対する ばらつきと誤差の許容範囲を示します。

「公差を設定する」とは、 長さ5mmの棒を作るとき±0.1mm(=公差)の範囲まで長さが違ってもいいよ、 とすることです。


公差設定例
図1.1-1 公差設定例

公差を定義する2つの要素はそれぞれ次のような意味を持っています。


ばらつき  :測定値が不規則に分布すること
誤差 :真値と測定値の間に生じる差

1.2.公差の必要性

例えば、長さ5mmの棒をつくるとします。

このときピッタリ5mmで仕上がることはほとんどありません。 必ず4.998mmとか5.03mmとか少しずれます。

また物を作った後、ちゃんと5mmで出来ているか?を確認するために測定を行います。

この場合においても、温度変化による材料の収縮・膨張、 測定器の押付力違いによる変形等によって測定値はばらつきます。 さらに、測定器には必ず測定誤差が存在します。


つまり、いくら5mmを狙って作ったとしても、作る面でも測る面でも必ずばらつきが生じ、 狙い値に対して誤差を持つことになります。

そのため、狙い値5mmに対していくらか許容幅を与えてやらなければすべての製品がNGとなり、 製造業は成り立ちません。

このように、ばらつきをある程度想定し、 誤差として許容できる範囲を設定することが公差の持つ意味になります。


1.3.公差と誤差の関係

前項で述べたように、公差を設定するには対象とするものの 誤差範囲を想定しなければなりません。

その意味で公差と誤差の間には、次のような関係が成り立ってほしいことになります。

誤差範囲⊂公差

ただし、この関係式には注意が必要です。

それは、想定誤差範囲を有限な範囲とすることは理論上不可能、 ということです。


図1.3-1 誤差範囲の例
図1.3-1 誤差範囲の例

これは、もののばらつきが数を多くすればするほど正規分布に近づき、 さらに数を∞にしてしまうと誤差範囲は-∞~+∞になってしまうためです。


図1.3-1 正規分布
図1.3-2 正規分布

そこで確率の力が必要になります。

確率は、「発生する事象がどのぐらいの割合で起きるか?」を表すものです。

図1.3-2のx軸と青線で挟まれた領域の面積が事象の発生確率になります。 -∞<x<+∞でP(x)を積分すればすべての事象を含むことになり、 発生確率は1になります。


正規分布の全事象確率

上図を見て気づくと思いますが、xの絶対値がある大きさを超えると、 x軸と青線の間の面積はものすごく小さくなることがわかります。 つまり、ある値より大きい範囲の発生確率はすごく小さい、 ということになります。

そのため、発生確率を1より小さい値でOKとすること= 確率的解釈を入れてあげること で想定誤差範囲はかなり小さく絞り込むことが出来ます。


以上から、想定誤差範囲はある確率を持って定義しなければなりません。 さらには、この誤差範囲の確率的解釈に引きずられ、 公差にも確率的解釈が必要になります。 また、その確率分布は一般に正規分布で扱います。


1.4.公差の確率的解釈

ここでは公差の確率的解釈について見ていきます。


そこで、ある部品の寸法公差設定について考えます。

この寸法のノミナル値(呼び寸法)をA、公差を±aとします(A±a)。

未だ作ったことのない部品に公差を設定するため、 何かしらの要因を持って誤差範囲を想定しなければなりません。

そこで確率変数xを測定寸法、確率密度関数P(x)をそのばらつき具合を表すものとして、 想定される正規分布を考えます。

今、この正規分布の平均値をノミナル値A、公差±aを±3σ(99.7%)の範囲となるように決めます。


図1.4-1 公差と正規分布の関係
図1.4-1 公差と正規分布の関係

このとき、“製造ばらつき+測定ばらつき+測定誤差”がA±aの範囲に入る確率は99.7%である、 と想定したことになります。

想定するからにはそれなりの要因が必要になりますが、 これは経験則やJIS等の規格をもとに決めるのが一般的です。


また、これまでは正規分布を前提としてきましたが、 経験上別の分布関数に従うと想定される場合は、 そちらの分布関数をもとに公差を設定することになります。


ただしこの場合の累積公差は、後述する二乗和を単純にあてはめることはできません。

それは、確率密度関数の形によって確率的解釈が異なるためです。

ですが、その確率密度関数がわかっている時点で公差範囲の確率を計算することができますので、 それぞれの確率密度関数を用いて累積公差での確率を算出し、 適切な公差範囲を設定することが可能になります。


1.5.公差設定の要因

ところで、公差はどうやって決めるべきなのでしょうか?

まずは対象とするものの機能・性能を優先させるのが基本でしょう。 ただ、機能・性能を高めようとすれば、公差はそれだけ厳しくなることが一般的です。

次に、製造や検査能力を考慮し、厳しくできる公差幅の限界を探ります。

公差を厳しくすればするほど、製造や検査にかかる費用は上がりますので、 最後は経済性(つまりコスト)を考慮して、リーズナブルな公差を模索していきます。


図1.5-1 公差設定の要因
図1.5-1 公差設定の要因

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