1.スプラインの種類

スプラインは、主に動力伝達を行う軸と穴を結合するときに用います。

スプラインには、主に次のような種類があります。


表1-1 スプラインの種類
種類 概略図 主な用途 特徴
角形
スプライン
角形スプライン 固定
滑動
軸に歯面が平行になる外歯が切られ、それにあわせて穴に内歯が切られたもの。 もともとは軸にキーを複数取り付けて高トルク伝達化を狙ったことから生まれた。 製造とその精度の観点から、今となってはよほどの理由がない限り、 インボリュートスプラインを使用する。
JIS B 1601で規定。
インボリュート
スプライン
インボリュートスプライン 固定
滑動
角形スプラインに対して次のような特徴がある(今はこのスプラインが主流。)
  • 歯形/ピッチ精度が高い(加工容易)
  • トルク負荷によって自動調心される
  • 動力伝達能力が高い(歯元強度大)
JIS B 1603で規定。
三角山
セレーション
三角山セレーション 固定 ハンドルやレバーを軸に取り付け、回転方向の遊びを押さえた上で高トルクを伝達するために、 軸と穴に三角山の小さな歯を多数つけてはめあう。 角形スプライン同様、よほどの理由がない限り、インボリュートセレーションを使用する。
インボリュート
セレーション
インボリュートセレーション 固定 JIS B 1602で規定。
ボール
スプライン
ボールスプライン 滑動 軸とスリーブに半月円溝を切り、多数の鋼球を入れることで、トルク伝達を行いつつ、 高い軸方向の滑動能力を備える。製品名で言えば、リニアボールベアリングとなり、 カタログ品が多数存在する。

スプラインの種類
図1-1 スプラインの種類

本サイトでは、上記のうちインボリュートスプラインと インボリュートセレーションについて見ていきます。


2.スプライン形状

インボリュートスプラインはJIS B 1603、インボリュートセレーションは JIS B 1602でその形状が規定されていますので、 詳細はそちらをご参照ください。

本サイトでは、各スプラインの形状概要について説明していきます。


その前にまず書いておくことは、歯形がインボリュート曲線であることから、 歯車と同じ方法で製作可能であることがわかります。 つまりスプラインの歯形形状を3D-CADや図面で描く場合、 インボリュート歯車のパラメータを、描きたいスプラインのモジュールや圧力角など JISに規定されている値を入れることで描くことができます。

参考までに本サイトで公開している インボリュート平歯車歯型計算ツール (ソフトウエアページ)も参照ください。


2.1.インボリュートスプライン(JIS B 1603)

JISで規定されているインボリュートスプラインは、モジュール0.25~10、圧力角30°、37.5°、45°のものになります。

そのほか旧規格としてJIS D 2001「自動車用インボリュートスプライン」では、圧力角20°のインボリュートスプラインが規定されていました。 ただし、この規格はすでに廃止されており、また国際規格との整合もとれていないため、新設計に適用しないことをJISでは推奨されています (現在は、JIS B 1603の付属書として規定はされていますが、一時的な措置として残しているだけ、とのことです)。


<中心あわせ及びはめあい形式>

JIS B 1603で規定されるインボリュートスプラインの中心あわせは、 “歯面あわせ”のみになります。 JIS B 2001では“歯面あわせ”以外に“大径あわせ”があります。

歯面あわせと大径あわせの違いを表2.1-1に示します。


表2.1-1 中心あわせ方式
形式 歯面あわせ 大径あわせ(参考)
歯面あわせ 大径あわせ
特徴
  • 歯面によって軸/穴中心をあわせる。
  • 組み合わされるスプラインは歯面のみ接触する。
  • 大径面(外径面)によって中心をあわせる。
  • 軸歯先の面取りが必要。
はめあい
形式
  • JIS B 1603では6種類のはめあい公差が設定されている。
  • JIS D 2001では以下の4種類が規定されていた。
自由、滑動、固定、圧入
  • JIS D 2001では以下の2種類が規定されていた。
滑動、固定

現在制定されているJIS B 1603の規格によれば、はめあい形式は次の6種類が規定されています。


表2.1-2 はめあい形式
はめあい 中間ばめ すきまばめ
公差設定 H/k H/js H/h H/f H/e H/d
度合 圧入 軽圧入~固定 滑動 (自由)

自由とは、理論上軸と穴の中心線は一致しますが、 傾きによって生じるわずかな中心線のずれを許容するものです。 このずれ=あそびが必要な例として、車が故障したとき、 積荷を積んだまま駆動軸を抜いたりはめたりする場合があります。


2.2.インボリュートセレーション(JIS B 1602)

JISで規定されているインボリュートセレーションは、 モジュール0.5~2.5、歯数10~60、圧力角45°、転位量0.1mのものになります。


<中心あわせ及びはめあい形式>

中心あわせは“歯面あわせ”で、はめあい方式は“固定はめあい”のみになります。


3.スプラインの強さ

スプラインの強さは、歯元強度と歯面圧の二箇所に注目します。


3.1.歯面圧

トルクが負荷されることで発生するスプライン噛み合い部の接触面圧が、 使用材質の許容面圧以下であることを確認する必要があります。

特に荷重を受けながら摺動する場合に注意が必要です。

歯面圧の計算は、簡易的に以下の計算式で行います。


面圧計算式

噛み合い率は、接触している歯面数の有効率、接触面積の効率などを加味した値になります。 この値をどのような考え方に基づいて設定するかが設計をする上で重要になります。


3.2.歯元強度

スプライン噛み合い部の接触中心に集中荷重が作用したと仮定すれば、 スプライン歯元に曲げモーメントが作用します。 また軸トルクに変動が生じれば、スプライン歯元の疲労破壊に注意が必要です

スプラインの歯元強度計算については簡易計算方法を紹介する書籍(例えば機械システム便覧)もありますが、 本サイトで公開しているスプライン強度計算ソフトでは、 外歯車の危険断面に対する強度計算式(Lewisの式)に基づいて計算しています。


図3.2-1 スプライン歯元強度
図3.2-1 スプライン歯元強度

4.スプラインの製造方法

インボリュートスプラインやインボリュートセレーションの製造方法は様々ありますが、主に次のような方法が挙げられます。


表4-1 スプラインの製造方法
対象 製造方法 特徴
製品形状と同時に成形
  • 鍛造
  • 鋳造
  • 焼結
  • 射出成型
  • 外歯/内歯両方可能
  • 特別な工程不要
  • 精度にやや難あり
大量生産
  • 転造
  • 外歯のみ
  • 軸の剛性がないときは変形のため不可
  • ブローチ加工
  • 内歯のみ
  • ホブ切り
  • 外歯/内歯両方可能
  • 止まり形状のときは逃げ底Rを大きくとる必要あり
少量/試作
  • NC加工
  • 深さに制約あり
  • ワイヤカット
  • 止まり形状は加工不可
  • 形彫り放電
  • 電極(銅)を作るため非常に高価
  • 深さに制約はほぼなし

インボリュートスプラインの検査項目は、その形状特性上平歯車とほとんど同じです。


  • (1)軸:オーバーピン径、またぎ歯厚
  • (2)穴:ビトウイーン径
  • (3)歯形:歯形測定器

コメント


役に立った 役に立たなかった

広告

広告募集中
サイズ:150×150

広告募集中
サイズ:150×150

広告に関するお問い合せ

イベント・学会・展示会


学べる探せる設計技術-沐エンジニアリング

Ads by Google

Ads by Google

Ads by Google


技術計算製作所のソフトウエア購入は


Vectorソフトライブラリ/ビジネス

Amazon

技術計算製作所

技術計算製作所

画像をクリックするとpdfが開きます。