1.等価慣性モーメント

等価慣性モーメントとは、電動機(モータ)に加わる負荷のうち、ギア等の物体が持つ慣性モーメントを電動機回転軸に対する慣性モーメントとして算出するものです。
ここでは、下図の例をもとに等価慣性モーメントを算出してみます。 等価慣性モーメントを求めるのに必要となるパラメータも下図で設定します。 ただし、各部品の各回転軸周りの慣性モーメントをJk、歯数をzk (ピッチ半径をrk)、回転角をθkとします。 また、歯面接触部に発生する力をFk-1kとします。
図1-1 電動機の減速機付き負荷
図1-1 電動機の減速機付き負荷

電動機の発生トルクをT、負荷部に発生するトルクをWとして、各軸周りの運動方程式を書いていきます。
式1-a

この式から力の項Fk-1kをすべて消去します(地道に計算するしかありません)。
式1-b

式1-1

また、角軸の回転角には次のような関係が成り立ちます。
式1-c

回転角の関係式からθnをθ1で表すことができます。
式1-2

また、
式1-d

の関係から、これらを(1-1)式に代入して次の結果が得られます。
式1-3

この式は、電動機の回転軸周りに発生する慣性力と、その軸換算での負荷トルクの合計が、電動機の発生するトルクと釣り合うことを表しています。 この角加速度の係数は、各ギアの慣性モーメントを電動機の回転軸周りの慣性モーメントとして扱っています。 つまり、各ギアの軸換算を行った慣性モーメント=等価慣性モーメントを足し合わせたもの、ということになります。
式1-4

(1-4)式から各軸周りの等価慣性モーメントに分解すると、次のように表せます。
式1-e

このように等価慣性モーメントは、各ギアの回転軸周りの慣性モーメントに減速比の二乗を掛けたものになります。

参考文献

CAEが手軽になった昨今、等価物理量を扱うケースは少なくなってきていると思います。 ですが、手計算で手軽にあたり付けをするにはうってつけで、まだまだ活躍の余地は十分あります。

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