1.湿度とは?
湿度は空気中に含まれる水蒸気の量を、次の定義によって表したものです。正確には相対湿度と呼びます。
\[
相対湿度
=
\frac{P_v}{P_s} \times 100
\]
- \( P_v \):空気中の水蒸気分圧
- \( P_s \):空気温度における飽和水蒸気圧
相対湿度は通常、乾球温度計と湿求温度系の二つの値から算出します。
乾球温度\( T_d \)は、空気そのものの温度を表します。
湿求温度\( T_w \)は、温度計先端に水で濡らしたガーゼをまいた時の温度になります。
ガーゼの水分は蒸発することで周囲から熱を奪うため(気化熱)、\( T_d \geq T_w \)の関係になります。
2.湿度の計算
湿度は次の手順で計算します。
(1)以下の温度を測ります。
- \( T_d \):乾球温度[K]
- \( T_w \):湿求温度[K]
- \( P_air \):空気圧(大気圧)[Pa]
(2)飽和水蒸気圧\( P_s \)を、Wagnerの近似式に乾球温度\( T_d \)を代入して計算します。
\[
P_s (T_d)
=
P_c \exp \left(
\frac{Ax + Bx^1.5 + Cx^3 + Dx^6}{1 - x}
\quad
\right)
\qquad
\left(
\because
x=1-\frac{T_d}{T_c}
\right)
\]
ただし、\( P_c = 22120000[Pa] \)、\( T_c = 647.3[K] \)
\( A = -7.76451 \)、\( B = 1.45838 \)、\( C = -2.7758 \)、\( D = -1.23303 \)
(3)水蒸気分圧\( P_v \)を、Sprungの式にに乾球温度\( T_d \)、湿求温度\( T_w \)、大気圧\( P_{air} \)を代入して計算します。
\[
P_s(T_d, T_w, P_{air})
=
P_s(T_w) - 0.000662 P_{air}(T_d - t_w)
\]
(4)湿度を計算します。
\[
相対湿度
=
\frac{P_v}{P_s}
\]
本サイトでは、上記に基づいた相対湿度を算出するExcelツール
humidity.xlsmを公開していますのでご活用ください。
3.Excelツールの使い方
本サイトで公開している湿度計算のExcelツール
humidity.xlsmの使い方について説明します。
相対湿度の計算はそれほど難しいわけではないため、Excel関数を使って算出することもできます。
しかし、ここではあえてVBAのFunction機能を使って関数化しています。
●飽和水蒸気圧の計算
飽和水蒸気圧[Pa] =Psvap(乾球温度[K])
セルに“=Psvap(a)”と入力すると、飽和水蒸気圧が計算されます。
aは数値を直接入力しても、セルを参照してもどちらでも構いません。
VBAは以下のコードになります。
Function Psvap(Tgas)
Dim Pc As Double
Dim Tc As Double
Dim coef(3) As Double
Dim Xt As Double
Pc = 22120000 '[Pa]
Tc = 647.3 '[K]
coef(0) = -7.76451
coef(1) = 1.45838
coef(2) = -2.7758
coef(3) = -1.23303
Xt = 1 - Tgas / Tc
Psvap = Pc * Exp((coef(0) * Xt + coef(1) * Xt ^ 1.5 + coef(2) * Xt ^ 3 + coef(3) * Xt ^ 6) / (1 - Xt))
End Function
●水蒸気分圧の計算
水蒸気分圧[Pa] =Pvap(乾球温度[K],湿求温度[K],大気圧[Pa])
セルに“=Pvap(a, b, c)”と入力すると、水蒸気分圧が計算されます。
なお、大気圧は未入力でも構いません。
その場合は、大気圧=101325[Pa]として計算します。
a,b,cは数値を直接入力しても、セルを参照してもどちらでも構いません。
VBAは以下のコードになります。
Function Pvap(Td, Tw, Optional Pair)
Dim coef As Double
If IsMissing(Pair) Then
Pair = 1013.25 ’[hPa]
End If
coef = 0.000662
Pvap = Psvap(Tw) - coef * Pair * (Td - Tw)
End Function
VBAを流用する際は、飽和水蒸気圧関数Psvapを参照していますので、そちらも一緒にコピーしてお使いください。
●相対湿度の計算
相対湿度[-] =Humidity(乾球温度[K],湿求温度[K],大気圧[Pa])
セルに“=Humidity(a, b, c)”と入力すると、水蒸気分圧が計算されます。
なお、大気圧は未入力でも構いません。
その場合は、大気圧=101325[Pa]として計算します。
a,b,cは数値を直接入力しても、セルを参照してもどちらでも構いません。
VBAは以下のコードになります。
Function Humidity(Td, Tw, Optional Pair)
If IsMissing(Pair) Then
Pair = 1013.25 ’[hPa]
End If
Humidity = Pvap(Td, Tw, Pair) / Psvap(Td)
End Function
VBAを流用する際は、飽和水蒸気圧関数Psvap、水蒸気分圧関数Pvapを参照していますので、それらも一緒にコピーしてお使いください。