コラム

三現主義に一言

作成日:20090605  テーマ1:仕事  テーマ2:  テーマ3:


三現主義とは、“現場、現物、現実”の3つの“現”を重視し問題解決に取り組む、ということです。でもこの言葉、逆に思考の停止を招く恐れがあるんです。

実は、目の前にある“現場、現物、現実”が、真に考えるべき現象を捉えているとは限らないのです。
よくあるのは、研究テストにおいて得られたデータがすべてで、予測と異なる結果が出てきたら、それは予測が間違っている、と短絡的に結論を導き出してしまうことです。
実は、測定精度が悪かったり、測定条件が想定と違ったり、供試品が本来の想定範囲内で出来上がっていなかったり、ということはよくあることです。この問題を認識していなければ、確かに得られたデータがすべてだ、と思いたくなるでしょう。
でも、本来は設計段階で様々な想定を行った上で予測を行っていますので、設計予測にもそれなりの根拠はそろっているはずです。
従って、テスト結果と予測が異なる場合は、2つの道筋を同時に辿らなくてはなりません。

(1)予測(机上検討)に誤りがないかを確認すること
(2)テストに誤りがないかを確認すること

テストデータがすべてを物語っていると考えている人は、(2)に対する考え方が完全に欠落しています。
 机上検討は頭の中と紙と鉛筆(今はパソコン)を駆使して結果を導き出します。それに対してテストは、頭の中と手足と工具や器具などを駆使して結果を導き出します。使っているものは違えど、行っていることは同じです。机上で誤りがあることもあれば、テストで誤りがあることもあります。
 また、机上検討のプロセスは紙やパソコンの計算ソフトなどで残りますが、テストのプロセス(たとえばセッティング中の誤組や精度不良、計測器のレンジ設定ミスなど)は残りません。テストのプロセスはブラックBOX化されていることが多いようです。よって、テスト手法により想定されるエラーの度合、計測器が出力するデータの信憑性など、ブラックBOX化されている部分について十分に吟味する必要があります。
 この部分をすっとばして、「はい、テストしました。こんなデータがでたので設計計算は間違ってます。」と短絡的に発言してしまうのは愚の骨頂なのです。
 計算と違うデータが出た場合は、設計計算で想定されている内容とテストデータで出されている内容を比較し、「どこがどう違うので計算値とデータは一致しませんでした。なのでテストはどこを見直し、設計計算はどこを見直す必要があります。」と発言する必要があるのです。

テスト結果を持って短絡的に「テスト結果が出てるのだから机上検討は間違ってる」と発言することは、三現主義でも何でもありません。これは単なるテスト主義です。

本当の“三現主義”とは、「机上の検討結果(理論)とテスト結果を比較・検証し、そのデータを元に次のステップを考えること」だと私は考えています。