1.3D設計の目的

3D設計とは何でしょう?


答えとして思いつくのは、「3D-CADを用いて3次元的に形状を決めていく」ことではないでしょうか?


ただ、これだと3Dモデルが出来れば設計は終わり、ということになってしまいます。 本当にそうでしょうか?

もし、前述の内容で3D設計の目的は達せられたとすると、従来の2D設計と比較した場合、 視覚的効果(イメージの共有)は飛躍的に向上するものの、 それ以外についての成果はほとんど変わりません。

私たちは、この視覚的効果を得るためだけに非常に高価な3D-CADを導入する価値があるとは言えない、 と考えています。


では、何のために3D-CADを導入し、3D設計を行うのでしょうか?

いきなりですが、結論から言うと 「ヒューマンエラーの飛躍的な削減」です。


実は、前述した視覚的効果=“イメージの共有化”は、 ヒューマンエラー削減の1つのケースにすぎません。

3D設計によって作られたモデルデータや、3D-CADをベースに構築されたシステムを活用することで、 これまでの開発で生じていた様々なヒューマンエラーを飛躍的に減少させることが出来ます。

それにより、開発工数の削減、設計精度の向上、設計者の技術力向上、 製品品質の向上などのメリットが得られます。


では「何故3D設計を行うとヒューマンエラー削減が期待できるのか?」について、 次章以降順を追ってみていこうと思います。

2.3D設計のメリット

3D設計によるヒューマンエラーの削減は、次の3つのキーワードによって成し得ることが出来ます。


  • (1)共有
  • (2)連携
  • (3)管理

この3つの言葉をこそ、3D設計のキーワードになります。

2.1.形状イメージの共有化

3D設計を行うえで最もメリットを実感できるのは、 形状が実物とそっくりそのまま(実際はそうとは限りませんが...) 出来ることにあります。

つまり、誰もが同じイメージを共有できます。

設計、テスト、製造現場は当然のこと、品質、企画、営業、役員などなど、 全ての人たちが画面上のモデルを見ることによって、 その形状を同じようにとらえることが出来ます。


それに対し図面(2D)だと、三面図から自分の頭の中で形状をイメージしなければならないこと、 その頭の中のイメージを他の人たちに見せることができないことから、イメージの共有は難しくなります。 さらに、図面を見るのが苦手な人たちにとってはイメージすることすら困難になります。


開発~製造~販売までのあらゆる部署の人たちと、 設計という早い段階でイメージを共有できることは、 さまざまな工程で開発力向上、開発効率向上、ひいては商品力向上 につながると考えられます。

2.2.CAEとの連携

設計と同時に3Dモデルが出来上がるため、わざわざCAE用のモデルを作る必要はなく、 設計データをそのままCAE解析へ用いることが出来ます。 また、その結果をフィードバックし即座にモデル修正して再解析することが可能です。

つまり、CADモデルとCAEモデルの一元化(≒共有化)+連携 が可能ということです。


ただし、CAEのために不要な構成部品やフィーチャを抑制するなどの設定が必要な場合もあります。 その場合、モデルデータの共有性は、モデリング技術に相当依存します。


2D設計時には、CAEを行うためにわざわざ図面をつくり、そこから3Dモデルを作成してからCAEを行う、 という手順が必要でした。 また2D図面が正となると、実物と3Dモデルの形状がなかなか一致しない、 という問題もありました(すべてを2Dで表現できないため)。

それに対し3D設計では形状決定後のCAEだけでなく、形状が決まらない設計途中の段階でも、 CAEを行いながらどんどん設計を進めることが出来ます。


上記内容を可能にしたのは、ハイエンドCADにおける3Dモデルとのダイレクト・インタフェースを持ったCAEツールの存在です。

以前は、線形の構造解析(伝熱含む)や簡単な機構解析程度が限界でしたが、 最近は、非線形構造解析、熱流体解析、公差解析などもオプションとして購入することが出来ます。

また、設計最適化ツールを用いることで、自動でパラメータを振りモデル修正を行いながら、 様々なCAE解析を行い、最終的な最適形状を自動抽出することも可能です。

これらにより、データの共有とツールの連携によって 設計効率化(>工数削減)、設計精度向上などのメリットが得られます。

2.3.製造(CAM)との連携

3DモデルをそのままCAMデータとして変換できるようになっています。

また、設計モデルを製造と共有化すれば、早い段階で工作ツールCAEや、鋳造の湯流れCAE、 鍛造のフォーミングCAE、組立工程CAEなど、さまざまなCAEツールとの連携によって、 製造現場要望を取り込んだ形で設計を進めることが可能になりますし、 早い段階で製造法案検討、設備検討などが行えるようになります。

また、検査現場においては3次元測定によって得られた点群データから3Dモデルを作成し、 共有化した設計データと照合することも可能です。

このように、3D設計モデルを共有化し、それを“正”として管理することで、 製造工程の効率化、早い設備投資判断などが可能となります。

2.4.データの一括管理

3D-CADでモデルを作成する場合に注意すべき点は、 最終製品モデル(ASSY)は1つのモデルツリーで管理されるべきである 、ということです(ただし、原則論)。

もしAssemblyファイルが複数あると、ちょっと部品構成を変えた途端、 すべてのAssemblyファイルを修正しなくてはなりません。 これは人手を介して行わなければならず、ヒューマンエラー発生のリスクが非常に高くなります。

そこで3D-CADには、設計途中でいろいろな案をAssemblyにぶら下げたりしても、 正規品だけをActiveにして他の別案は抑制する機能を備えています (簡略表示やファミリーテーブル、デザインテーブルなど)。 部品レベル(フィーチャレベル)でも同様な機能を備えています。

これらの機能を活用すれば、1つのモデルツリーですべての設計3Dモデルを 管理することは可能でしょう(断言はできませんが...)


このようにデータを一括管理することで、開発に携わるすべての人がみな同じデータを共有し、 各自で担当する業務を同時並行的に遂行できるようになります。

これを“コンカレント・エンジニアリング”と呼びます。


文章で書くと簡単そうに見えますが、実はこれを実現するためには相当な労力が必要になります。

開発に携わるすべての人がチーム一丸となって、モデリングやデータへのアクセスに関するルール作りを開発初期に行わなければなりません。

そこにはチームの思想が色濃く反映されます。ルールを多くすればするほど流用性の高いデータは構築されるでしょうが、 それにより開発の自由度を奪う危険性があります。 その逆の場合は、データの構成がばらばらなため、他人がそれを流用しようとしてもどうなってるかわからず、結局作り直しが発生する等の 非効率性が発生します。よって、あらかじめチーム全員で開発思想を共有し、それをベースにルール構築をしていかなければなりません。


3D開発において、開発初期段階に工数が集中する原因は、このルール作りにあると考えられます。

ですが、このルール作り(それ以上にチーム思想)を明確にしておけば、それ以降の作業はあらゆる面で飛躍的に向上します。


これまで何度も出てきているように、データを流用できる、ということだけでヒューマンエラーを大幅に削減することができます。 また、無駄なモデリング工数やチェック工数もなくなるため、作業効率も向上します。

3.PLMとPDM

これまでデータの共有/一括管理の重要性を訴えてきました。

この概念をベースに、製品にまつわるすべての情報の一元管理化を目指したシステムがPLM (Product Lifecycle Management)になります。

3D開発とPLMの関連性は直接的には特にありません。しかしながら、3D-CADの特性から考えれば、 3D開発がPLMと相性抜群であることは明らかです。また、3D-CADの発展とともにこれらのシステムも発展した、 と言えるでしょう。

そこで本章では、PLMとそれを実現するPDMの概念について記載します。

(1)PLM(Product Lifecycle Management)

製品の企画・開発から設計、製造、出荷後のサポートやメンテナンス、生産・販売の打ち切りまで、 製品にかかわるすべての過程を包括的・一元的に管理すること。 言い換えれば、製品に関係するデータを、製品にかかわるあらゆる部署間で共有し、 効果的に活用するためのシステム。

PLMの目的は、製品のすばやい市場投入、生産量コントロール、撤退タイミングの適切化、顧客ニーズの製品への迅速な反映、 上流から下流までの設計変更共有化と迅速対応などを目的としている。


(2)PDM(Product Data Management)

製品管理情報のことを言う。PLM実現をサポートするシステム。 設計期間短縮化と設計品質向上を同時に実現することを目的とした製品設計支援システム。 BOM(部品表、下記参照)をベースにしたデータの一元管理化が最も一般的。

3D設計によって、製品全体モデルにその構成部品のモデルデータから設計データ(CAE含む)、 図面データ(2D含む)まですべてにリンクがついているため、PDMのようなシステムとの適合性は非常に良い。

PDMによって管理される主な項目は以下のとおり。


  • a)最新版管理
  • b)変更履歴管理
  • c)権限管理
  • d)製品構成管理

これらを実現するツールとしては、Windchill(PTC>Cero/Elements(旧Pro/ENGINEER))やENOVIA(Dassault>Catia)等があります。

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